何ももらえないのなら、汗水流して仕事なんてするわけがなどもちろんこの理屈は、「何」が何であるかにかかっている。
ここが肝心なところだ。
仕事によって得られるものが外側の報酬だけであるなら、そして仕事そのものの喜びではないなら、モチベーションは下がるだけで、上がりはしない。
お金はよい仕事の動機にならないという説は、怪しげな「楽観論」であり、厳しい現実からは遊離しているように見えるかもしれない。
しかし、動かすことのできない証拠が、それが事実であることを証明している。
たとえば、ある調査結果によれば、子供たちがご褒美を目当てに絵を描いたり詩を作ったりした場合、ご褒美もなくただそれをやったときよりも、作品の創造性は低くなる。
また、学生にお金を与えて勉強させると、学科が楽しいから勉強した場合や、他の人に教えるために勉強した場合よりも、テストの成績が悪くなるのだ。
進歩的な経営理論が数多く登場しているにもかかわらず、労働者は刺激を与えなければならない受け身的な集団といまだに見なされている・社会学者のW・P・Wは、著書の『O』の中で次のように述べている。
「機械を使う場合、マネジメントとは電気のスイッチを入れることである。
そして人を使う場合は、お金がスイッチの役割を果たす」質の高い仕事への報酬として賃金を上げることは、自らの意志で働いている従業員にとっては侮辱である。
なぜなら、A・Cが『H』の中で述べているように、「責任ある行動、学ぶことを愛する気持ち、よい仕事をしたいという欲求が私たちの一部となっているのに、それと反対のことを勝手に想像するのは非人間的行為といわれて当然である」。
報酬というインセンティブは、人の働く意志を侮辱するだけでなく、力のアンバランスも生み出す。
報酬の構造は「いうとおりにすれば、骨をやろう。
いうとおりにしないのなら、何もやらない」ということだ。
これは、誰が誰のボスであるかを明確に表している。
報酬を出すと約束することによって人のやる気を引き出そうとするのは、相手を実験用のネズミ扱いするのと同じことだ。
そして、他人の人格を尊重するのと同様に、私たちは、自分自身の人格も尊重しなければならないのである。
だから、Jの新車がほしいから、みんなにほめてもらいたいから、まじめに仕事をするんだと主張するのは、自分自身に対する大いなる侮辱である。
確かに車はすてきだし、ほめられればうれしいものだ。
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